WEISS『DAC502』の多彩な機能を活用する <その1>


サウンドピットです。


『DAC502』の機能を使ってセッティングをしてみようって話の続きです。

単なるD/Aコンバーターにとどまらず、DSPを用いた様々な機能を使って実際にシステムをセッティングしていきます。

少し記事が長くなってしまいますが、今回ご紹介する「5バンド・ルームイコライザー」と「3バンド・パラメトリックイコライザー」が一番大切な機能ですので、しっかりセッティングしていきたいと思います。


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今回『DAC502』と使って調整をかけてみるのは以下のシステムです。

  • ソース&DAC:WEISS『DAC502』
  • プリアンプ:OCTAVE『HP700』
  • メインアンプ:KRELL『DUO125』
  • スピーカー:エステロン『model YB』


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・まずは部屋の特性を知るべし


『DAC502』の調整機能を使う前に、セッティングの参考とするために部屋の特性を測定します。

測定に使ったのは「mini DSP」の「UMIK-1」という測定用マイクと、「Audio Tools」というソフトウェアです。



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大分おおまかですが、サウンドピットの部屋の特性は以下のような感じでした。

比較的優秀な結果だと思いますが、ところどころデコボコしていますね。

このデコボコをイコライザーで調整していきます。



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こういった周波数特性の乱れが、実際に音にどのような影響をもたらしているのか。

例えばうちだと、およそ220〜250Hzの間にぴょこっと飛び出した部分がありますが、これはちょうど人の声や様々な楽器が含まれる主要な帯域です。

それらを調整することによる変化を知る事で、各帯域が音楽においてどのような働きをしているのか、そういった事を知る意味でもイコライザーは役に立ちます。

それではさっそく、測定した結果をもとに、「5バンド・ルームイコライザー」を用いて調整をしていきます。







・「5バンド・ルームイコライザー」で部屋の特性と対峙する


まず使用するのは『DAC502』の主要機能のひとつである「5バンド・ルームイコライザー」。

以下のような調整画面で、補正タイプ、チャンネル(左右の指定)、任意の周波数、ゲイン、Qファクターを入力します。



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測定した結果を元にパラメータを設定していきます。

周波数は1Hz刻みで動くのではなく、ある程度プリセットで決められているようなので、一番近い帯域を指定します。

ルームイコライザーは左右を個別に指定出来ますが、今回はまとめて測定してしまったので、すべて「Both」です。

厳密に行うと左右それぞれの設定が理想なのでしょうが、それをやり始めたら5バンドで足りるんかいな、という疑問が浮かびます。


あとは指定した周波数に対して「Peak」で効かせるか、「High Shelf」で効かせるかを選びましょう。

「High Shelf」は指定した周波数より上全体を持ち上げるタイプのイコライザーです。

ゲインをマイナスにした場合は、逆の効果を得る事ができます。


補正をかけた結果、以下のような特性になりました。


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あまり大きくは変わりませんが、デコボコが少し滑らかになりました。

できるだけ部屋の特性を活かしたままにしたいので、あまり大きくパラメータを振っていません。

しかしグラフとしては微妙な変化なんですが、聴感上は大きく変わっています。

特にヴォーカルを含め、中域から高域にかけてやけにスッキリしました。

が、ちょっとスッキリしすぎな気もしています。


ひとまず、この項目では測定した結果を元に、「5バンド・ルームイコライザー」を使って特性をフラットに近づけました。

次は実際に聴きながら好みの音に仕上げる「3バンド・イコライザー」を使います。






・最後は自分の耳を信じて「3バンド・パラメトリックイコライザー」


ルームイコライザーの調整が終わりましたので、次は実際に音楽を聴きながら好みの音を作っていきます。

使用するのは「3バンド・パラメトリックイコライザー」。



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「5バンド・ルームイコライザー」と良く似ていますが、こちらは左右の選択が無いかわりに、イコライザーのタイプが増えています。

そのため、より細かい調整が可能となっています。

選択出来るのは「Peak」「Low Shelf」「Low Cut」「High Shelf」「High Cut」の5種類。

それぞれ指定した帯域より、下を持ち上げる、下をカットする、上を持ち上げる、上をカットする、という効果があります。

持ち上げるイコライザーは使い易いのですが、カットする方はあまり登場しないかも知れませんね。


イコライザーが3つと言われると、なんだか少ない気がしてしまいます。

しかし、前項で設定したルームイコライザーと掛け合わせてみると、意外と3バンドでもしっかり調整をすることができます。

ご自身のお気に入りの曲を聴きながら、直感的に調整してみるのがいいと思います。






・まとめ


今回は「DAC502」の主要機能の中でも、とくに大切な「5バンド・ルームイコライザー」と「3バンド・パラメトリックイコライザー」をご紹介しました。

はっきり言ってこの2種類のイコライザーの調整如何によって「DAC502」をどこまで活用できるかが決まるように思います。

というのも、ここから先の機能関しては「2つのイコライザーがうまく設定出来ていることが前提」と、なるような機能ばかりだからです。

特性的にも聴感上もしっかりセッティング出来てこその追加機能ということですから、考えてみれば当然のことですね。

言い方をかえれば、この2つのイコライザーをしっかり使いこなす事が出来れば、すでに半分、いや7割は「DAC502」を使いこなせるようになったと言ってもいいでしょう。


大事なところなので少々長くなってしまいましたが、ここはじっくり取り組んで、余す事無く『DAC502』の能力を引き出せるようにがんばりましょう。

次は「ヴァイナル・エミューレーション」「XTC(クロストーク・キャンセリング)」「ダイナミクス」という、いわば発展系の機能をまとめてご紹介いたします。

お楽しみに。


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by soundpit-new | 2019-05-13 16:16

名古屋のオーディオ専門店「サウンドピット」のブログです。


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