ヴォクサティブ:アンペジオ・シグネイチャー
2021年 01月 23日
サウンドピットです。
先日セール商品のページに掲載したこちらのスピーカー。
もうご覧いただけましたでしょうか。

ヴォクサティブ「アンペジオ・シグネイチャー」です。
ご存じの方も多いかと思いますが、たいへんユニークかつ唯一無二の価値を持つスピーカーです。
往年のブランド、ローサーを思わせる(形はほぼそのままの)ダブルコーンのフルレンジに、特徴的なバックロードホーンキャビネットという構成。
構成としては、非常にオーソドックスなスピーカーシステムです。

しかしこのスピーカーの音色、というか鳴り方はまったく革新的なものでした。
初めて聞いた時の「まさかフルレンジ一発でこんな音が」というインパクトは今でも覚えています。
残念ながら「アンペジオ・シグネイチャー」は国内代理店の取り扱いが終了してしまいましたが、これが魅力的なスピーカーであることに変わりはありません。
現在ご案内しているのこの個体が、おそらく国内では最終在庫に限りなく近い1ペアかと思います。

改めて店頭で鳴らすということで、今一度気合を入れてセッティングしてみました。
ヴォクサティブは能率が100dbを超えていることもあり、わずかなセッティングの変更にも敏感に反応します。
これは驚くほどの感度です。
それがこのスピーカーの難しいところであり、楽しいところ。
以前もお店で鳴らすにあたって、ずいぶん時間をかけてセッティングしました。
今回アンプは、ビスポークオーディオ「パッシブ・プリアンプ」と、なんと「グラスマスター」で鳴らしています。
電源を介さないビスポークオーディオのピュアな音色と、グラスマスターの力強い真空管サウンド。
明るく抜けのいいヴォクサティブと良く合います。


フルレンジの魅力の一つである、まとまりの良さを意識したセッティングを目指しています。
店頭では他のスピーカーもあるので、割と設置の幅はけっこう広めです。
しかし、定位や立体感はバッチリ出ています。

Eva Cassidy:「Live At Blues Alley」を聴いてみました。
ヴォーカルやギターが生き生きとしていて、とても気持ちが良いです。
フレッシュなヴォーカルはヴォクサティブの大きな魅力のひとつ。
通りの良い中高域のおかげで、ライブの熱気が伝わってくるかのようです。

次にSheku Kanneh-Mason:「ELGAR」より、エルガーのチェロ協奏曲を。
低域がかなりボリューミーな盤ですが、破綻もなくスムースになっています。
チェロの音も立体的に出ており、じっくり聴き入ることができます。

そしてThe Clash:「LONDON CALLING」。
ごく普通のCDですが、異様に音のいい英国プレスのお気に入りです。
キレがとてもいい感じです・・・が、音源との相性というか、ちょっと綺麗に鳴りすぎてしまいます。
もう一枚。
少し前にエソテリックから発売されたデュメイ&ピリス「モーツァルト、フランク、ブラームス ヴァイオリンソナタ集」。
何枚かリリースされているこのコンビの、おいしいとこだけを集めたベスト盤みたいなディスク。

邪道かもしれませんが、個人的にツボなチョイスばかりで気に入っています。
ご存じの通り、演奏も素晴らしいのですが、録音もかなり良いです。
モーツァルトのヴァイオリンソナタ第28番第2楽章を聴きました。
これは素晴らしく合います。
ヴァイオリンとピアノ、いずれも生々しく、ぐっと引き込まれる音です。
聴いていて大変気持ちが良いです。
まだまだ詰める余地はありそうですが、やはり面白いスピーカーです。
付き合うには、こちらもそれなりの覚悟と根気をもってじっくり向き合う必要があります。
しかし、趣味として楽しむならこれぐらい気難しいほうが楽しめるのではないでしょうか。
ヴォクサティブは現代スピーカーでありながら、どこかクラシカルな雰囲気も持ち合わせています。
言葉はあまりよくありませんが、要するに少し古臭い音ということです。
普段から複数のユニットを搭載した最新鋭のスピーカーを聴いていると、どうしてもダイナミックレンジの差や分解能力の違いを感じてしまいます。
ただこれは、どちらが優れている、という判断基準にはなりません。
音を聴いているわけではないのですから、音楽がたのしく、気持ちよく聴ければいいのです。
ヴォクサティブでしか出せない、ヴォクサティブだからこその鳴り方を目指してセッティングしていきたいと思います。
ぜひ一度、聴いてみてください。
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by soundpit-new
| 2021-01-23 11:47