アキュフェーズ本社を訪問しました

サウンドピットです。


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アキュフェーズにご招待いただき「AAS(Accuphase Audio Store)ゼミナール」という販売店向けの研修に参加させて頂きました。私自身アキュフェーズ本社を訪問するのはこれが初めてで、アキュフェーズというメーカーをより深く知ることができた貴重な体験となりました。



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研修の内容は主に社内見学です。初めは製品の修理を担当する品質保証部のアフターサービス部門を見させていただきました。


アキュフェーズといえば修理サービスが充実しており、どんなに古い製品でも可能な限り対応してくれるのは有名な話です。実際のところアキュフェーズは『ライフタイム・アフターサービス』というポリシーに基づき、1973年に発売した第一号機のプリアンプC-200、パワーアンプP-300からはじまって、現在に至るすべての製品の修理を可能な限り受けつけているそうです。



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倉庫には様々な部品が大量に保管されています。もし在庫がない部品が必要になった場合は代用品を作成して対応することもあるそうです。なので部品がないからと修理を断るようなこともなく、とにかくお預かりして診てみるという姿勢を取っておられます。



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サービス部門のベテランエンジニアの方からはアキュフェーズが採用してきた歴代のボリュームやリレーをご紹介いただき、最新のAVAA方式やMOS FETリレーがいかに小型かつ高性能で劣化が起きにくいのかを教えていただきました。



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壊れにくくて、アフターサービスも徹底しているというのはアキュフェーズの強みです。そしてこのことが多くの人に認知されているということはずっと真面目にサービスを続けてきたからこそです。今年から製品保証もCDプレイヤーを含むほぼ全ての製品が5年保証となり、ますますブランドとしての信頼性は増すことと思います。



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次は製造部です。


アキュフェーズの製造ラインはベルトコンベアで流れ作業ということはせず、熟練の技術者達が一台一台を組み上げ、徹底した調整と検査を行なっています。そのため1日の生産台数は限られますが、世界トップクラスの品質を誇る製品が出来上がるのです。



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この時はプリメインアンプ「E-5000」を製造中でした。組み立て、パーツの取り付けが済んだアンプの全入出力端子を検査し、基準をクリアできているかを迅速かつ入念にチェックしていました。テキパキと計器を操作し、手の動きに迷いと無駄がないのが印象的でした。



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その次は長時間の通電チェックです。音声信号を入力してダミーロードに出力をしている状態です。初期不良の炙り出しが主たる目的ですが、音質を安定させるエージングという役割も兼ねています。



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通電チェックをクリアすると次はベテラン技術者による入念な調整と全項目の性能測定を行ないます。調整においては検査規格のクリアでは満足せず、その製品が達成できる最良のポイントを探りながら調整を行うそうです。例えば、アンプの内部配線を這わせる位置や束ね方でひずみなどの特性が変わるらしく、その微調整を一台ずつ丁寧に行なっています。



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ここはパネルやツマミの取り付けを行うセクションです。とにかく各パーツのセンター出しに心血を注いでおり、そのためにアキュフェーズ製品はパネ
ルやツマミの取り付け位置を微調整できるように設計されているそうです。このおかげで製品ごとの取り付け誤差はほとんどないといっても過言ではありません。



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ここまでの工程をクリアし、仕上がってきたアンプはさらに厳しい検査を受けます。なんと一定の振動をする台の上において動作させ、ハンダ付けの不良や接触不良、異物の混入などの検査をするのです。これは振動試験と呼ばれ、一般的なオーディオ機器の製造時にはほとんど行われない工程だそうです。出荷前になんとしてでも不良を見つけてやろうという尋常ではないこだわりを感じます。



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まだ検査は終わりません。


次は実働検査という実際に製品を動作させながら人間の五感を使った感覚的な検査を行います。製品の音質はもとより、表示器の明るさやスイッチを操作したときの感触、動作音といった細かいところまで厳重に検査します。そしてその後は安全試験といって製品を安全に使用するために重要な電源の絶縁試験とアース導通試験を行います。


これで一通り製品は完成し、最後のセクションに運ばれます。



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なんと、もう一度検査されるのです。


ここまでの工程は製造部の管轄でしたが、この出荷検査は品質管理部の管轄で、独自に定めた検査規格で出荷の良否を判定します。二つの異なる部署でチェックを行い、不良の見落としを徹底して無くすのが目的です。そして、ここも無事にクリアすることができた製品のみが販売店に出荷され、お客様へと届けられるのです。



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アキュフェーズ製品のトラブルの少なさは周知の事実なのですが、なぜトラブルが少ないのかは具体的に語れない方が多いと思います。恥ずかしながら私自身も製造工程や検査体制を見ることで初めてその理由を知ることができました。オーディオというと音質がメインの話題ですが、こういったもの作りの観点でも注目して見てみるとメーカーの個性が見えてより一層面白いですね。



アキュフェーズ製品の凛とした佇まいの裏側には品質への徹底したこだわりがあります。アフターサービスしかり、製造工程しかり、決して妥協はしない自身に対する厳しさが今のアキュフェーズの評価を決定づけているのだと思います。続けることの大切さ、それをあらためて感じた研修でした。



アキュフェーズ株式会社の皆様、研修にお招きいただき本当にありがとうございました。



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研修の最後は新社屋の試聴室での試聴会でした。お馴染みのB&Wに加え、FYNE AUDIOも試聴室に並んでおり、それぞれがいい音をかなでていました。日本音響エンジニアリングによる設計の試聴室は響きがうまくコントロールされており、心地よく音楽に浸ることができました。新製品のC-2300も上位機種に負けず劣らずのいい音を出していました。



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サウンドピットでは現在、アキュフェーズのプリアンプ「C-2900」とステレオパワーアンプ「P-7500」を常設展示中です。アキュフェーズ製品の購入、試聴のご相談はぜひサウンドピットまで。


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by soundpit-new | 2023-06-24 03:27 | 訪問記

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