LINN KLIMAX SOLO 800 試聴しました。
2024年 06月 06日
LINNのフラッグシップ・モノラルパワーアンプ「KLIMAX SOLO 800」を試聴しました。難しい負荷がかかるスピーカーであってもアンプとしての「歪みを徹底的に極小化すること」と「有無を言わせず一貫した出力を堅持すること」に重点をおいて開発された最新モデルです。
販売価格は¥15,400,000(税込、ペア)で、本体カラーはシルバーとブラックの2色展開です。
LINNといえば薄型でスマートなデザインというイメージでしたが、12年ぶりのニューモデルである本機は現行のKLIMXAN/DSMに合わせたデザインに生まれ変わり、サイズも従来機より大きくなりました。
他社のモノラルアンプに比べれば常識的なサイズと重量(27kg/1台)ですが、出力パワーは4Ωで最大800W、2Ωで1.2kWを安定して生み出す怪物のようなスペックを持ってるのが特徴です。
LINNのパワーアンプはスイッチング電源を採用しており、KLIMAX SOLO 800にはUTOPIKパワーサプライという最新の電源回路が搭載されています。これは「ソフトスイッチング」と呼ばれる技術を採用し、スイッチングノイズの極小化と動作の高効率化をさらに一歩前進させたものです。
アンプの増幅方式はAB級で、両サイドの大型ヒートシンクと煙突効果を利用した構造は効率よくアンプをクーリングし、動作中のアンプ本体の発熱はわずかに暖かくなる程度で、排熱に関して心配不要です。
KLIMAX SOLO 800には「アダプティブ バイアス コントロール テクノロジー」という技術も新たに採用されています。
これはリアルタイムで動的に、供給される電流値の測定・抽出・デジタル化を実行し、このデータによりFPGA内で最適値が算出され、デジタルコントロールで個別(16個)のトランジスタ毎に与えられるバイアスを精密に管理・制御するLINN独自の技術です。
これによってKLIMAX SOLO 800はどのような温度でも、また再生音量や音源のダイナミクスに関係なく最適なバイアスが適用され、理想的な状態を保ち続けることが可能とし、AB級アンプ設計の課題とされてきたクロスオーバー歪みを解消しています。
音に関して、今までのLINNとは一味異なる強力な駆動力と熱量を感じました。力任せではなく適切にコントロールされたダイナミクスで、人肌くらいの温度感をもった音です。近すぎず、遠すぎない、リスナーと適度な距離を保って音楽を表現する、知性を感じさせるパワーアンプという印象です。
驚くべき点はこのサイズと重量で他社の巨大なパワーアンプ達と同等の力強さや駆動力を実現しているということです。
スケジュールの都合上、数時間程度の試聴でしたが、KLIMAX SOLO 800の特徴と能力の高さは十分に感じることができました。LINNというとシステムが限定されるイメージですが、このパワーアンプは様々なシステムの組み合わせで活躍できるように思います。
購入やご試聴のご相談は、ぜひサウンドピットまでお問い合わせください。
by soundpit-new
| 2024-06-06 12:53
| 試聴レポート